第2回 「EVを知る」
第2回 「EVを知る」開催レポート
開催日:2008年7月26日(土)
講義:「モーターの原理と構造」 講師:椛澤明 (日本EVクラブ)
講義:「バッテリーの原理と構造」講師:雨堤徹 (三洋電機)
講義:モーターの組み立て解説 講師:加藤良雄(三工機器)
実技:モーターの組み立て(シングル型シビックモーターの組立て)体験
講師:加藤良雄(三工機器)
今回の教室は、講義と、ちょっとした実技を勉強します。
講師は、日本EVクラブ会員で自動車メーカーの研究所に勤務している椛沢明さん、三洋電機の電池部門、三洋モバイルエナジーの雨堤徹工学博士、モーターの巻線機を開発している三工機器の加藤良雄顧問(でよかったですか?)の3人。自動車業界関係者なら、大金を払っても講義を聴きたいのではないかと思える布陣です。
とはいえ今回は中学生教室。かなりかみ砕いた内容の講義になりました。
まずは椛澤さんの、モーター理論と構造について。
なぜモーターは動くのか、なぜ電気にはプラスとマイナスがあるのかという基本的な理論とともに、なぜ普通のエンジンより電気自動車やハイブリッド車は燃費がいいのか、加速もいいのかなど、具体的かつホットな話題も取り上げました。
続いての講義は三洋電機の雨堤さん。
三洋電機が40年前に充電可能な二次電池を開発した当時は電子機器がほとんどなく、電池を使う市場がなかったこと、だったら自分たちで市場を作ろうと、懐中電灯を作ったことという、二次電池では世界最大のシェアを誇る三洋電機の生い立ちから始まり、電池が電気を発生する仕組みの解説をしました。
続いて、フォーミュラEVで実際に使用しているモーターと同じもの、なおかつ現行のホンダ・シビックハイブリッドで使用しているモーターと同じモーターを教材に、モーターの組み立てをしながら仕組みを見ていきます。
フォーミュラEVは、このモーターを4つ、連結して使います。なので、出力は4倍の、120馬力になります。
ところで最新のハイブリッド車やEVのモーターは、出力を上げるためにネオジウム系という超強力な磁石を使っています。
ところが強力すぎて、組み立てがけっこうタイヘンです。たとえば鉄などが触ると簡単に着磁(磁力を持つこと)してしまいます。時計や携帯は壊れてしまいます。
そしてモーターには、金属部材を大量に使用しています。だからモーターの組み立ては一筋縄ではいきません。
それをいかに組み立てるかが、モーターを持つクルマ製造におけるひとつのポイントになっています。
教室では、ホンモノのモーターを、治具という組み立てツールを使って組み立てました。磁石に注意しながら注意深く、ひとつひとつのパーツを重ねていきます。パーツの精度が高いため、きっちりとハメ込まないとうまく組み付かない部分もあります。
少し重たいパーツもあるので、2?3人で持って「もうちょっと右」「少し上に上げて」と声をかけながらの作業でした。
無事に組み上がったモーターを試運転、といいたいところですが、こうしたDCブラシレスモーターは、複雑な電子回路がないと動かないので、実際に動かした様子は次回の教室レポートで。
リポート:木野龍逸