e-ロードスター

ナンバー取得を待つロードスター。

レポート/古川 治(神奈川県)

DATA
ベース車:ユーノスロードスター
完成日/製作期間:2020年10月/6ヶ月
ナンバー取得日:2020年10月
総費用:500万円

レポート

最初のロードスターEV、そして最新のロードスターEV

日本EVクラブが初めてコンバートEV製作したのがロードスターであった。ということをあとから知り、驚いたと同時に、やはり当時から最適なEVベースと考えられていたのだと納得した。
私が初めて製作したコンバートEVはシティカブリオレ。これもオープンカーであった。オープンカーがEVと相性が良いのは、キレイな自然の風を感じるとともに、自らが排気ガスを出さすキレイな空気とともに楽しむ、EV乗りならではの満足感と楽しみだ。そして、風と楽しめればエアコンもあとで考えれば良い。

日本EVクラブが製作した時代は鉛電池が主流と思われる。時代は変わり主役はリチウムイオン電池へ。当時「リチウムイオン電池がコンバートEVに搭載できれば航続距離は非常に伸びる」と多くの方々が口にしていたと想像できる。その夢のリチウムイオン電池がコンバートEVに搭載された。しかし、その期待と裏腹に、価格や制御の難しさ、パック構築の面倒さ、電池事故、さらにR100という安全規則により、より厳しい安全対策を行わないといけなくなり、残念ながらナンバー付きのコンバートEVはこれまでより遠い存在になってしまった。

一番のハードルはナンバー取得での電池の安全対策をどうやって認めてもらうかである。実は、数年前から企業向けではあるが、第三者機関(社JIMA)で電池の認証を得ることができるようになった。今回この機関を利用して、ナンバー取得を行った。なんと、このロードスターはその認証の第一号のコンバートEVである。

搭載電池は日産リーフ24kWh後期モデル(AZE0)の電池モジュールを再利用、リーフでは48個のモジュールを搭載しているが、本車両では40個使用、DC300Vのシステム電圧でドライブする。
従来のコンバートEVではDC100V帯が主流であったのに対し、DC300Vということはその3倍の電圧だ。高電圧化のメリットは電流値を減らせ、配線径の縮小や熱損失の低減に寄与する一方で、インストール時や事故時に危ないというデメリットもある。最大のメリットは、量産車の電圧帯に近いためチャデモ急速充電に対応しやすいこと。現在普及しているチャデモ急速充電器のほとんどが最大でも充電電流値125Aのため、電圧が低ければ多くの電力を送り込むことができない。e-ロードスターはチャデモ急速充電に対応するようにした。

モーターはWarp9 DCブラシモーターだが、現在アップデート中。日産リーフのEM57モーターとロードスターの5速マニュアルミッションとなる。
電池もリーフ、モーターもリーフとなると、移植しては?という声も聞かれる。いわゆる「フルセット移植」は、純正車両での制御デバイスの協調やコンバート車両に存在しない安全デバイスの消し込みに加え、電池交換/更新時やシステム故障時のリカバリーの難しさが懸念される。

e-ロードスターは、制御に関するECUはすべて書き換え可能となっていて、インバーターの出力調整やマッピング変更、例えば電池が革新して、電池種の変更、セル数変更、容量UPや電圧変更も可能になっている。搭載の充電器も制御できるタイプで、例えば現在のDC300Vシステムから、将来定格DC360Vの電池システムへ変更となった場合、搭載している関連機器の交換は一切不要でアップデートが可能となっている。

コンバートEVは大幅な進化ができるようになった。
日本は諸外国に比べて、クルマのカスタマイズを認め、それを楽しむ文化が浸透していないところがあるが、日本のコンバートEVの文化が途切れぬよう、今後も新しい作品を起こしていきたいと思います。

車両データ(PDF)

チャデモに対応。

フロントにモーターとインバーターを搭載。

普通充電用のポートはトランク横に設置。

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