タイトル | : Re: EV車の充電装置の注意点 |
記事No | : 620 |
投稿日 | : 2008/08/19(Tue) 22:18:53 |
投稿者 | : 五十嵐隆規 |
掲示板に投稿してからだいぶたちますが、充電はうまくおこなえていますか? まだ検討中でしたらこちらのバッテリ充電方法を資料としてまとめてみました。 参考になれば幸いです。
まずは水力発電を実施されているそうで、うらやましいです。水力発電は運動エネルギー を電気エネルギーに変換する装置で他の発電方法に比べて高効率、安定しています。 実験程度でもやりたいのですが...風力、太陽光等やってみたいことはたくさんあります。
バッテリ充電方法ですが、期待しているアドバイスはできないと思いますが何かの 参考になればと思い投稿します。 ・専門家ではありませんので違うと感じたら意見をお願いします。 ・電気自動車を所持しておりません。 ・電動スクーターを2台所持しています。(48V仕様)
まず条件を確認しておきます。不明な点が多いですね。 充電用電源:水力発電、電力:500W、電圧:不明、電流:不明、AC/DC:不明 バッテリ:電圧72V、数:6個、単体の電圧:12V、単体の容量:不明 1回に充電するバッテリの個数:不明 充電条件:発電電力を全て充電、長時間かけて充電、無人/人里離れたところで充電? 監視機能有/無等、安全機能等 費用等:???
どんな充電方法でもこれで安全ということはありません。注意することは ・充電器/バッテリの保守はこまめにする。(これでトラブルの90%以上は回避できます。) ・安全装置は半導体のみに頼らず、FUSEやリレー等を併用する。 ・温度測定をおこなう。(ユニット毎が望ましい) ・充電器/バッテリの周辺には燃焼しやすい物を置かない。 ・通気性を良くする。涼しい場所で充電する。 ・発火検出等、バッテリ/充電器とは別の安全装置を付ける。 ・開放型バッテリを充電する場合は、キャップを外す。酸に弱い物(金属を含む)をできるだけ離す。 給水をこまめに実施する。 これではどれだけ費用がかかるのか分かりませんね。しかし、これらの意味を理解しているのと そうでないのとでは事故が発生する、もしくは対処にかなり差がでます。例えば建物の構造から 充電設備の最適設置方法を考えることが可能です。 実際には発火等のトラブルが発生したことはないのでそれほど神経質にならなくても大丈夫と 思いますが、トラブルを予想することは必要と考えます。 充電システムには太陽光発電/風力発電用の製品が流用できると思います。これらを利用する場合でも 安全には十分考慮することが大事です。(数年使用後劣化するケースが多くメーカーが無償修理をする例も 耳にします。)
詳しく説明文を作成したら長文になりましたので結論のみ記入します。 根拠や原理、安全性を考えたい場合はその内容を連絡ください。 バッテリ6ユニットを1回で充電すると仮定して考えました。 (1)充電電流:0.1C程度の定電流 (水力発電500W出力エネルギー有効利用も考慮して) (2)充電時間:10時間程度 (充電電流から算出) (3)充電停止電圧:13.5V〜14.5V/1ユニット (4)充電停止温度:???、ユニット毎に測定する。 (バッテリの仕様と充電電流、環境温度に依存) (5)充電停止方法:半導体→リレー→FUSE (安全性考慮) (6)充電器台数:6台 (1ユニットあたり1台の充電器を用意する。) 充電方法によっては絶縁タイプが必要。 (7)充電波形:直流、パルス、高電圧パルス(特に規定なし) (8)異常バッテリの検出:極端に電圧が低い、充電しても電圧が上昇しないバッテリの検出 (9)電圧計/電流計:精度の良い電流計、電圧計 (10)その他:極性を間違えないような工夫が必要。(ワンタッチコネクタの採用等) ショートには十分考慮する必要がある。 経年劣化、腐食等に対してメンテナンスを実施する。
1ユニット毎に充電器を用意することは必須と考えます。費用はかかりますが バッテリの長寿命には欠かせない手法と考えています。 走行(放電)時もバッテリユニット毎に電圧計を設置すると、6個直列で 検出しにくいバッテリ過放電を検出できる可能性があります。 当方もバッテリ毎の電圧と電流測定システムを製作中です。(ポケコン+PIC) 直列接続したバッテリ劣化のうち1個のみ劣化している例はかなり多いようです。(下記参照) 高性能電気自動車「ルシオール」はバッテリセル(2V)単位で管理しています。 ハイブリット自動車、「プリウス」も7.2V/1ユニット単位で管理しています。 これらは充電時セル/ユニット毎に制御できるのか不明ですが、少なくても セル/ユニット単位での過放電/過充電は防止でき、長寿命や高信頼性が期待できます。
安全面では、電圧/電流/温度/逆流(放電)を検出し、半導体/リレー/FUSEで回路切断 させます。充電器の仕様には記載されていない場合も多く、仕様が合致するのを 探すのはかなり困難です。妥協して不足部分を人力等で補うか自作/カスタム仕様品の 購入をすることになります。
当方の充電器を紹介します。 (A)電動スクーター(typeA) (1)充電電流:0.5C程度 (2)充電時間:2時間程度 (満充電までは更に数時間必要) (3)充電停止電圧:未測定 (4)充電停止温度:なし (5)充電停止方法:半導体 (6)充電器台数:4出力/1台、 1ユニット単位の充電管理、本体と別設置タイプ (7)充電波形:未測定 (8)異常バッテリの検出:不明 (9)電圧計/電流計:なし、内部では精度良く検出していると考えます。 (10)その他:コネクタはメタコンを使用しており、信頼性は疑問。 カタログモデルの充電器は本体搭載タイプなのでこの充電器は 試作/試験導入したものと考えます。充電器は海外メーカー品。 このスクーターのバッテリ管理は良くできており、新品時の走行は35km程度 現在は20km程度走行できます。他の例と異なりバランス良く劣化しているようです。 バッテリを一度も交換せずに現在1200km走行しています。(約30Km/hで実験中)
(B)電動スクーター(typeB) (1)充電電流:0.15C程度 (2)充電時間:8時間程度 (3)充電停止電圧:未測定 (4)充電停止温度:あり、バッテリ1個を測定、設定値不明 (5)充電停止方法:半導体 (6)充電器台数:1台、 4ユニット直列接続で充電 (7)充電波形:パルス (8)異常バッテリの検出:不明 (9)電圧計/電流計:なし、内部では精度良く検出していると考えます。 (10)その他:900km走行した状態で入手。バッテリの交換履歴は不明。 バッテリが劣化した状態で入手。再生処理を実施→3/4個は そこそこ回復したが、温度管理されていない1個が回復不能。 このスクーターに別購入の再生バッテリ4個を搭載してみたが 100km走行してバッテリが劣化。調査するとやはり1/4個の劣化 が進んでいた。
(C)バッテリ再生実験充電器(自作) (1)充電電流:0.01C程度(変更可能) (2)充電時間:150時間程度(変更可能) (3)充電停止電圧:なし(放置すると過充電する) (4)充電停止温度:なし (5)充電停止方法:なし (6)充電器台数:1台/1ユニット、 4台製作 (7)充電波形:高電圧パルス (8)異常バッテリの検出:なし (9)電圧計/電流計:なし (電圧を定期的にモニターしている) (10)その他:(B)や(E)のバッテリ再生実験の為製作。 実験用なので安全回路はないが電圧/電流を定期的にモニター していました。電流が0.01Cと極端に低いので過充電の影響も少ない。 (フロート充電の電流値より小さいので数時間過充電しても影響はほとんどなし) 再生実験用に電流を小さく(Dutyを小さくする)設定しているので内部抵抗が 高く電圧が低い状態のバッテリも充電/再生実験可能。ただし昇圧回路を 用いているので内部ショートしているバッテリを充電するのは危険。 (充電器入力電流制限をして対処)
(D)充電器製作キットor安定化電源(CV、CCモード搭載) (1)充電電流:0.1C程度(変更可能) (2)充電時間:10時間程度(変更可能) (3)充電停止電圧:13.8V設定(13.5V〜14.5V) (4)充電停止温度:なし (5)充電停止方法:半導体 (6)充電器台数:1台/1ユニット、 (7)充電波形:直流 (8)異常バッテリの検出:なし (9)電圧計/電流計:あり (10)その他:比較的安全に充電可能。設定電圧や環境温度で充電量が変化する。 充電条件を自由に設定できる。
(E)電動スクーター(typeC、中国製)、バッテリのみ入手 (1)充電電流:不明 (2)充電時間:不明 (3)充電停止電圧:不明 (4)充電停止温度:不明 (5)充電停止方法:不明 (6)充電器台数:1台、 4ユニット直列接続で充電 (7)充電波形:不明 (8)異常バッテリの検出:不明 (9)電圧計/電流計:不明 (10)その他:バッテリが劣化した状態で入手。再生処理を実施→3/4個は そこそこ回復したが、1個は回復不能。
その他の注意点 ・鉛蓄電池は、「放電したまま放置しない」が原則です。HP情報では 1日放置するとサルフェーションが発生するとのことです。 ・以前近くで電気自動車の実験をされてた方がいて、一度お話をうかがいました。 もともとは鉛蓄電池仕様のものですが、Ni-MHに交換した結果大幅に最高速度 が向上したそうです。しかしバッテリの管理がうまくできず劣化させてしまい 実験終了したそうです。高性能バッテリを利用する場合それなりの知識が 必要のようです。 ・今回紹介した全ての充電器が半導体制御による充電停止制御です。 特殊な環境(無人等)ではリレー等で充電器も含め完全に停止させた方が 安全面では良いと考えています。
これらは資料なので、充電システムを構築する時の参考になればと思います。
(1)充電電流 0.1Cで充電するが比較的安全です。充電電流はできるだけ少ない方が安全性は高まります。 しかし、発電した電力の有効利用や充電時間の短縮を考えるとそうもいきません。 そこで条件を仮定し、算出してみます。 充電電力:400W (500W×80%) バッテリ:12V50Ah×6個 充電電流算出:5.6A(=400W/12V/6個) バッテリ容量の0.1C程度なので比較的安全に充電できそうです。
(2)充電電圧 資料を探してもこれといったデータがありません。充電器を調査すると大体13.5〜14.5Vに 設定されているようです。低いと充電不足で走行距離が伸びませんが、高いと過充電になり バッテリが劣化します。温度による影響も無視できません。充電電流と劣化の進行を考えて 電圧を設定するのが良いと考えます。
(3)温度 これも資料を探すとあいまいなデータしかありません。バッテリの仕様書に記載されている 場合もあります。
(4)異常バッテリの判断 リチウム電池の場合は必ずありますが、鉛蓄電池の場合はない場合がほとんどです。
大体これくらいが一般的な内容です。充電だけでなく放電も考慮することで更に安全性が 高くなると考えます。
経験や研究/試作/トラブル資料からバッテリの特性を考えると (5)バッテリはセル毎に管理するのが望ましい。 バッテリの1セルは2Vの電圧を発生します。これを6個直列にしユニット(12V)で供給されて います。セル特性の違いは劣化が進むと顕著になります。同じ条件で充電しても個々の バラツキで充電状態が変わるのです。セル毎に管理するのは事実上不可能なのでせめて ユニット毎に充電器を用意します。充電方法によっては絶縁タイプが必要です。 (6)バッテリを充電する時は負荷を完全に切り離す。 負荷を接続していない(車両走行していない)場合でもシステム維持の為僅かに電流消費 している場合があります。この状態でバッテリ充電器を接続すると制御に影響する場合も あります。このようなことを避ける為、負荷をブレーカー等で完全に切断します。できれば ケーブルも外す方が良いと思います。このようにするとユニット毎に充電器を用意する場合 でも非絶縁タイプの充電器を用いることが可能であり、効率を上げることが可能です。 ただし再度取り付けする時に、接続を間違えると大電流が流れ非常に危険になります。 (7)電圧が極端に低いバッテリは微小電流で充電し様子を見る。 バッテリを放電した状態で放置すると電極にサルフェーションが形成され使用できない 状態になります。普通の充電器であればこの状態で通常の充電をしても危険はありませんが 異常状態なのでバッテリ/充電器にどのような影響を及ぼすのかわかりません。 微小電流で充電し数時間たっても電圧が回復しなければ充電を停止するか、専用の充電器で 再生させるのが良いと考えます。
最後に 鉛蓄電池では安全に対するトラブルが発生したことはありませんが、Ni-MHでは十分考慮して 充電したにも関わらず、破裂させたことがあります。「トラブルが発生する可能性はある」 と考え、設置後はバッテリ/充電器/発電設備(配線を含む)を十分に確認/点検/保守を おこなってください。
|