ごあいさつ
「地球 と 自動車 と 人の共生」 これが私たちの願いです
いま、生活の大事な足であり、経済、産業に欠かせない交通機関である自動車は、大きな問題を抱えています。地球温暖化と、石油の高騰といずれ見舞われるであろう需給の逼迫という問題です。とくに、地球温暖化は私たちだけではなく、まだ見ぬ未来の世代にまで被害が及ぶ大きな問題です。
地球温暖化を防止するには、自動車の排出するCO2も削減する必要があります。日本の場合、自動車のCO2排出量は全体のおよそ20%を占めており、とくに自家用乗用車の排出量は、京都議定書の基準年である1990年からの11年間で1.5倍にも増えています。
一方、世界の気象科学者の多くは、いますぐにCO2排出量を半減させないと、後戻りできなくなるといっています。温暖化することでさらに温暖化が加速するような現象が起きてしまうからです。安倍前首相が先のサミットで「2050年までにCO2排出量を半減させる」と発言した背景には、こうしたことがあります。
ところで、自動車の燃料であるガソリンは、1リットル燃えると2.32kgのCO2を排出します。平均的なドライバーが年間12,000km走った場合、およそ4トンから5トンのCO2を排出してしまいます。この事実は、地球温暖化に対して私たち市民も大いに責任があることを示しています。市民、一人、一人の自覚がなければ地球温暖化は防止できません。しかし、生活の足である自動車を手放すわけに行かない人たちが大勢います。地球と自動車と私たちが共生できる方法はないものでしょうか。
日本EVクラブは、EVの普及に取り組ん15年目を迎えますが、その中でEVであれば自動車の抱える問題の多くを解決できることを学んできました。たとえばEVは、ガソリン車にくらべてCO2排出量は約4分の1なのです。こうしたEVの特性は、地球温暖化を防止する上で、大変に効果が高いといえます。EVを普及させることは、地球と自動車と私たちが共生できる道のひとつなのです。
こうした思いから、日本EVクラブでは2001年に「日本1周充電の旅」を実施、手作りEVで1万2千キロ余りを走りました。それに先立つこと4年前の1997年には九州佐多岬から北海道宗谷岬までの3000kmを日本EVクラブの会員がスポーツEVで走破し、また1999年には別の会員が京都から茨城県の筑波サーキットまで軽自動車を改造したEVで走りました。これらEVの旅のきっかけになったのはEV手作り教室なるワークショップで製作したEVランサーで、96年に東京~スズカサーキットを走破したことでした。しかし、何もかもの出発点は、92年に私が東京日本橋からスズカサーキットまでの470kmを徒歩で走破したことにあります。人と自動車の共生を願っての旅でした。
今回のEV洞爺湖キャラバンも、こうした日本EVクラブのEVによる一連の旅のひとつです。いずれの旅もそうだったように、人と自動車の共生祈願であり、未来へのチャレンジです。
これまでのEVは、重くて、遅くて、走らず、高価といわれ、普及が進みませんでした。しかし、今回のキャラバンで東京から洞爺湖まで走る富士重工業のR1eと三菱自動車のi MiEVは、こうしたマイナスイメージを払拭する高い性能を持っています。私たちの生活の中で十分に使えるEVです。そのことを多くの人たちに知っていただきたいと思います。EVを使うことで私たちは地球と共生できることをアピールする。これも今回のキャラバンの目的です。
世界では、多くの国で市民自らがCO2削減の行動を起こしています。日本でもそうした市民の行動が起きていることを世界の人たちに知っていただき、共に手を携えて地球温暖化防止に立ち向かいたいと思います。これも今回のキャラバンの目的です。EVはきっと、世界の人々を地球温暖化防止活動に結びつける架け橋になれると思うのです。
このキャラバンを成功させるには、多くの人たちからご支援をいただかなければなりません。
熱いご支援、ご声援をお願いします。そして、この旅を通じて、ご支援、ご声援をいただいた方々と、地球温暖化防止の大きな輪ができることを願っています。
日本EVクラブ 代表 舘内 端 |
■日本EVクラブ http://www.jevc.gr.jp/ 日本EVクラブは、1994年10月に自動車評論家の舘内端を代表として設立した市民団体です。 EV(電気自動車)に夢とロマンを持ち、EVや低公害車の普及と未来のモータリーゼーションの創造、地球温暖化防止を私たち自身の問題と考え、主体的に活動することを目的としています。これまでに、「日本EVフェスティバル(本年で14回目)」、「EV手作り教室」、「EV試乗・講演会」、「省エネ運転講座」などイベントの開催、中学校次世代車教室(世田谷区主催)の企画運営、会員活動の支援(手作りEV製作支援や、イベントの支援)、EVジャーナル、会報、日本EVクラブ通信の発行などを行なっています。法人会員18社、個人会員366名(2008年5月現在)。 会員製作のEVは、コンバートEV(乗用車改造)、電気カート、電気バイクなど、述べ250台以上になります。 |