洞爺湖キャラバンDailyレポート 日替わりリレーブログ

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2008年06月25日 18:05

熊野学 「EV特有のメリット」

6月20日から25日にかけて実施された「CO2削減洞爺湖EVキャラバン」にドライバーとして参加した。このEVキャラバンは、合計7名のドライバーが3チームに分かれ、三菱自動車のi-MiEVと富士重工のR1eの2台に分乗してそれぞれの区間を走行する。私が選んだ区間は福島から盛岡までであり、2日間かけて走行した。この区間の4号線を走行するのは初であるが、車載のナビが案内してくれるので、問題はなかった。

EVキャラバンの直前に発生した岩手・宮城内陸地震の影響が心配されたが、実際に行ってみると、主要な被害は山間部に限られるようで、私が走行した4号線では地震の被害は見られなかった。走行距離は1日目が130km、2日目が170kmと短距離であるが、途中で両社の販売店やイオンやイエローハットで充電をしながらの走行である。合計3台の急速充電機が、先回りして充電場所で待機している。急速充電機による2台のEVへの充電は1時間弱を要する。

2日間に渡ってEVに乗った印象は、EVの実用性が大幅に向上したということだ。EVには年に数度、EVレースなどで乗る機会があるが、これほどの長距離を一般道で走行するのは初であった。そこで感じたのは、実用上で動力性能が十分なレベルに達しているということだ。加速性能については、信号グランプリで他車に遅れを取らないだけでなく、試したわけではないが信号グランプリでリードすることもできそうだ。

EV特有のメリットもある。第一に変速が不要なことだ。このため、セレクトレバーはあるがクラッチペダルはない。発進時には、セレクトレバーを「D」ポジションに入れ、アクセルペダル踏込むだけだ。発進後はアクセルペダルで速度をコントロールすればよい。

第二のメリットは、静かなことだ。EVにはエンジンのような騒音源が無いから、エンジン車より大幅に静かになる。特に車外に対しては、歩行者がEVの接近に気が付かないほどだ。が、車内では意外に騒音が聞こえる。それは、走行音やインバーターの音である。走行音はエンジン車でも発生するが、エンジン音にかき消されて聞こえないのだ。逆に言えば、エンジン騒音のないEVでは、これらの騒音が目立つわけだ。

第三の利点は、重いバッテリーが乗り心地を向上することだ。重いバッテリーは動力性能を低下させるが、一方で乗り心地を向上するのだ。また、重いバッテリーを床下に搭載する場合には重心が低くなるので、安定性も向上する。

EVは現状では、航続距離が短いという欠点があるが、以上のような利点もある。それ以前に、CO2排出量がエンジン車より大幅に少ないのが、EVの最大の特徴である。2日間のドライブで、以上のメリットを実感しながら走行した。

もちろん、電力消費を少なくする運転に心がけた。減速時にはできるだけエネルギー回生し、長い停車時にはセレクトレバーを「N」レンジに入れ、サイドブレーキをかけた。「D」レンジ停車ではクリープを発生させるためにモーターに若干の電流が流れるからであり、サイドブレーキをかけるのはブレーキランプの電力消費を避けるためである。

ただ、電力消費を抑制するアクセルペダルの操作は微妙であり、不要なブレーキを避けるための車間距離の維持にも気を使うので、普段のドライブより疲れたことは確かである。