これはEVクラブのみんなと一緒に喜びたい!
われらが日本EVクラブの代表・舘内端さんが、環境庁長官から「環境保全活動に対する感謝状」をいただきました。今回の表彰はクラブ代表として舘内さん個人へのものでしたが、われわれEVクラブ会員としては、まるで自分が表彰されたかのように喜びましょう。
受賞理由は「日本EVフェスティバル」の開催、COP3に際しての「EV手作りセミナー」の実施など低公害車の普及啓発に貢献している(環境庁広報資料より抜粋)ことが認められたもの。むむむ、これはますます、EVクラブ会員のみんなや、フェスティバルのボランティアに協力してくれたみんなの賞だ!
感謝状の贈呈式が行われたのは1998年の11月26日のこと。さっそく、舘内さんにインタビューしてきましたよ。
受賞の喜びインタビュー!
舘内さん、おめでとうございます。感謝状をいただいてどう感じてらっしゃいますか?
舘内●あのね、感謝状をいただく前に、EVクラブの4年間の活動報告のリストの提出をすることになったんだ。その報告用のリストを見て驚いた。 たった4年間でこの活動量。 本当にビックリするくらい。そこで「これは一体誰にたのまれたのか?」っていう疑問が浮かんできて「あ、自分じゃないか」と気が付いた。一緒に活動してくれたEVクラブの仲間もそうだけど、誰に頼まれたわけでもない。モットーの「隗よりはじめよ」なんだけど、ちょっとやり過ぎたかなと思ったね。
なるほど。やりすぎちゃった原因は何でしょう?
舘内●それは「懺悔と愛」だな。まず「懺悔」。今までの50年間に対する責任を痛感したんだ。環境や大気の汚染が進んでいる中、僕もその原因を作っている。僕は、小学校3年生の頃から無免許運転してたんだ。9才か10才の頃から数えると、かれこれ40年近く排気ガスをばらまいていたことになるよね。それを考えるとちょっとゾッとする。ますます、環境汚染は悪化するだろうし、僕の息子達や、これからの人たちへの懺悔なんだ。そして「愛」。「希望を失わない人」への愛。様々な問題に一生懸命立ち向かっている人たちへの愛。そういう方と一緒にがんばっている充実感。そういう想いが4年間を支えてくれたんだろうね。
へえ、われわれは舘内さんの懺悔に巻き込まれたわけですね。ま、楽しいからいいですけど。ところで、舘内さんとしては、なぜ今EVが注目されてるとお考えですか?
舘内●それは、EVがたんなるモノじゃないからだね。大量生産と大量消費に慣れた人々の意識を変え「勇気と希望」を与える伝導物なんだ。
でも、EVそのものは例えば遊園地の乗り物とかにもあって、目新しいモノじゃないですよね
舘内●そう、EVは100年前から存在している。 しかし、僕はEVにただの乗り物を見るのとは違う「目」を開かせてもらった。エンジニアの眼差しとは違う、自動車評論家としての眼差しでもない視点なんだ。
そのきっかけは何だったんですか?
舘内●もっとも大きなきっかけは、アメリカで行われているAPSエレクトロ500のレースにチャレンジしたこと。 僕らはEVフォーミュラの電友1号で参戦したんだけど、行ってみるとアメリカの高校生が自分たちで作った電気自動車でレースをしている。スタッフもみんなボランティア。僕を含めた総勢17名程の日本人全員がその場で「雷」に打たれたんだ。 「こりゃ、とんでもないことが起きてる」って。 その想いが形になって、EV手作り教室を開催した。それが日本EVクラブの立ち上げに結びついた。
その雷に打たれたような衝撃が、4年間持続してるんですね
舘内●うん。でも続けてこられたのは日本EVクラブの会員のみなさんの熱意があったからだよ。そして、みんなのうれしそうな顔。ありがとうの言葉。それが僕の勇気になるし力になる。もう一度繰り返すけど、モチベーションは「愛と懺悔」なんだよ。
そういえば、EVに関わっている人たちはとても輝いてるというか、とても元気に見えますね。いい仲間が集まって力を合わせてるし。なぜだと思いますか?
舘内●人間の本来の性だろうね。モノを作るという欲望だよ。EVは自分で作れるからね。ただ、一人きりでやるには費用や作業的に負担が大きいから、自然と仲間が集まって力を合わせられるんだ。EVならではといえるだろうね。たとえば、AさんからDさんまで4人が集まってAさんのクルマをみんなで作る。それが終わるとまたみんなで次の人のEVを作る。その繰り返し。EVのキーワードって「自立と共生」なんだよね。実は、これって「未来」のキーワードでもある。EVに夢中になっている仲間ってのは「EVを作る楽しさ」につられて「未来」も作っているんだね。だから広がりが実感できる。だから、元気なんだよ。
そうすると舘内さんにはちょっと失礼ですが、この感謝状はEVクラブのみんなでもらったようなもんだと感じているんですか?
舘内●その通りです。 クラブの仲間がEVを作ろうと思う原動力には「少しでも自動車とそれを囲む環境を良くしたい」という気持ちもあるはずだよね。もちろん、それは正しい欲望だ。日本EVクラブでの活動が社会的に認知される。認められると新たな「力」が沸いてくる。だから、この感謝状は日本EVクラブのみんなといっしょに喜びたいね。
クラブ会員以外の、このホームページをご覧になっている方々へメッセージはありますか?
舘内●おお、もちろんあるよ。「日本EVクラブ的活動」は「当たり前」のこと 。全く、特別なことではないんです。 そんな当たり前のことをして、感謝状をいただけるのはどうしてかというと、社会が未熟で、こういう活動が当たり前になっていないからなんだよ。 世の中に、もっともっとこういう活動が増えて欲しいですね。
最後に来年の抱負がありましたら聞かせて下さい
舘内●会員のみなさん、好きなことをどんどんやっていきましょう。本部はいつも見守っています。そして、総会や日本EVフェスティバルでまたお会いしましょう。来年の僕は地道に「隗よりはじめよ」で「日本全国縦断・EVなんでも相談教室」を開設し、私が感謝状をいただいたお礼の意味も含めて、全国の会員のみなさんに会いに行きたいと思います。
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ええええっ。「日本全国縦断・EVなんでも相談教室」ですか。舘内さん、また言っちゃいました。はたしてどうなることやら。ともあれ、間近に迫った21世紀に向けて、ますます元気な日本EVクラブの活動にご期待下さいってことにしておきましょう。ちなみに、日本EVクラブ事務局の石川響子さんも、この感謝状には「ますます、堂々と胸を張って活動できます。とてもうれしいことです。会員のみなさんも、自信を持って活動していきましょう!」と大喜びでした。
1時間以上におよぶ長いインタビュー。手短かにまとめさせていただいたつもりなんですが、いかがでしたか。インタビューを始めるときに、事務局の石川さんは「感謝状贈呈式に会員の方全員を呼びたかった」と、本気で悔しがっていました。舘内さんはニコニコしながら「すごいだろ」と言って感謝状を見せてくれました。
すべては「隗よりはじめよ」です。私自身もさらに「日本EVクラブ的活動」が出来るようにがんばらなくちゃ。そして、このページをご覧になった貴方の活動に期待して、報告を終わります。そうそう、ぜひ、みなさんからのメッセージを舘内さん宛(このホームページから送れるクラブのメール宛先でいいですよ)にメールして下さいね。
取材・文:佐々木美紀