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日本をつなげ! 充電レポート【01】「横浜ー仙台」24時間スポット急増中!

【Reported by YOSHINORI YORIMOTO】

日本EVクラブホームページ編集長であるフリーライターの寄本好則が、日刊SPA! で電気自動車で日本各地の「元気!」を訪ねてレポートする企画『日本をつなげプロジェクト!』の連載をスタートします。

『日本をつなげ!』というタイトルには、がんばっている人たちの「元気!」を伝えてつなぐという思いとともに、ガソリン車に比べて細切れに充電を「つなぎ」ながら走らなければいけない電気自動車での旅という意味も込めています。

EVでの充電はまだ物珍しい光景といえるでしょう。リーフやiMiEVのオーナーでも片道100km以上の遠出をするにはちょっとした「覚悟」が必要なのが実情でしょう。はたして、充電を繰り返しながらのEV旅ではどんなことが起こるのか。各地に設置が進んでいる充電器の使い心地はどうなのか。

日刊SPA! のスピンオフ記事として、日本EVクラブのホームページでも(三軒茶屋ファクトリー公式サイトとの連動企画です)随時ご紹介していこうと思います。日本EVクラブではコンバージョンEVの製作や活用を支援してきましたが、もちろん、市販EVの普及も応援していきます。拡大しつつある急速充電器ネットワークの実地レポートとして、お役立ていただければ幸いです。

【2012年8月2日:横浜ー仙台(気仙沼)への旅】

START:神奈川県横浜市●日産グローバル本社(13:35)

横浜の日産本社からスタート!

今回の取材マシンは日産リーフ。カタログスペックではJC08モードの航続距離が200km。とはいえ、高速道路上での電欠ストップという最悪の事態を避けるために、少なくとも2割くらいの余裕は残して充電をつなぎたい。さらに、急速充電は電池への負担軽減や充電時間節約のため(満充電に近くなるほど充電するのに時間がかかる)に80%程度しか充電できないというのが電気自動車の常識だ。

つまり、充電時に2割、余裕で2割、合計で4割の能力は使えないってことになる。エアコンを使いながらの高速走行であることを考え合わせると、それなりに省エネ運転を心がけたとしても、120km程度が一充電で走行できる距離の限界と思っておくのがいいだろう。

ともあれ、日産リーフでこんなに遠出のドライブをするのは初体験。いろいろワクワクしながらのスタートなのだった。

CHARGE_01:埼玉県川口市●朝日環境センター(15:01)

充電器は駐車場の奥にある

横浜から首都高速に乗って東北自動車道を目指す。東北自動車道のSAやPAに急速充電器は設置されていないから、充電の度に高速を下りることになる。東京周辺は急速充電器の数が多い。浜崎橋が混んでいたので湾岸線を回り、辰巳PAで一度クルマを停めて最初の充電をどこにするかリーフの賢いナビで検討。以前からちょっと気になっていた川口市の『朝日環境センター』がルートからそんなに遠くなかったので、まずは最初の充電ポイントに決めてみた。

朝日環境センターは、ゴミ焼却施設の余熱を利用して温水プールやお風呂などがある公営施設。急速充電器は駐車場に1台あって、駐車料金も充電も無料で利用できる。15時01分に到着したが、先客のリーフが充電中。いきなりの充電待ちを体験してしまった。

でも、ほどなく先客の充電は終了し、15時10分に充電開始。充電はセルフサービスで、充電率や時間などをタッチパネルで設定できるようになっていた。デフォルトでは80%に設定されていたが、100%まで選べたので思い切り100%充電してみることにする。

冷房の効いたロビーで充電待ち。スマホで『coco充電』というEV充電スポット情報サイトにアクセスして、次の充電ポイントを検討しつつ待つことおよそ10分ほど。15時20分に充電率89%で充電器が自動停止した。走行可能距離の表示は145kmまで回復。さあ、東北目指して出発だ。

<DATA>
前充電ポイントからの走行距離=69.8km
到着時走行可能距離=66km
充電後走行可能距離=145km
充電時間=10分

CHARGE_02:栃木県宇都宮市●東日本三菱自動車販売クリーンカー宇都宮梁瀬店(17:43)

川口から、次の充電ポイントに設定したのは宇都宮。約110kmの距離になる。高速道路走行でどのくらい電気が減っていくのか経験が浅いので、慎重を期してエアコンをオフ。時速80km巡航を心がけ、人間オートクルーズだ。

宇都宮周辺にはいくつかの急速充電スポットがある。川口を出発する時には日産自動車栃木工場で充電しようかと思っていたが、うっかり鹿沼ICまで走ってしまったから(栃木工場には北関東道の宇都宮三川ICが便利だった)ややアクセスが遠くなり、市内の三菱ディーラーで充電させてもらうことにした。

iMiEVと並んで充電中

鹿沼ICの手前で残り走行距離に余裕があったので、エアコンをオンにしてシフトを「エコ」からドライブモードにチェンジ。走行可能距離23kmを残して三菱の「クリーンカー宇都宮梁瀬店」に到着した。他社EVへの充電はどうなんだろうと思ったが、居合わせたスタッフさんは快く迎えてくれてアイスコーヒーまで出してくださった。しかも、充電は無料。ありがたすぎる。

17時45分、充電を開始した時には充電残り時間が59分と表示された。ゲゲゲっと思ったけれど、実際には40分弱、18時20分に充電終了。13時半に横浜を出発してからすでに5時間ほど経過。市街地から宇都宮ICまでは少し距離がある。先を急ごう。

<DATA>
前充電ポイントからの走行距離=114.2km
到着時走行可能距離=23km
充電後走行可能距離=155km(ecoモード)
充電時間=38分

CHARGE_03:福島県須賀川市●福島日産自動車須賀川店(20:25)

日も暮れた。coco充電での検索を24時間充電可能なスポットに絞り、次の充電ポイントに決めたのは、福島県須賀川市の日産ディーラーだ。ナビによると距離は111km。ただ、那須高原や白河を越えなきゃいけない。ガソリン車で走るときには気にしたこともなかったが、かなりの上り勾配があるだろう。距離はともかく「標高差はどのくらいなんだろう」という不安を感じてしまう。

実はこの取材時には知らなかったのだが、日産リーフのオーナー向けWEBサイトでは、目的地までの標高差を考慮した情報が提供されているらしい。また『ルートラボ』というサイトでは、選択したルートの標高差をグラフのようなビジュアルで確認できる。

ここでも充電待ちを体験

念のためにエアコンオフで走って、須賀川のディーラーに到着したのは20時25分。ここでもリーフの先客がいた。今年2月にリーフを買って、今日は会津若松までドライブした帰り道とのこと。15分ほど待って、20時42分から本日3度目の充電を開始した。残っていた電気は17%。セルフで充電率を設定できたので、ここも100%に設定。すぐ近くに回転寿司のお店があったから、充電中に食事を済ませることにした。

回転寿司店に入ったのは久しぶり。ひとり寿司を楽しんで、クルマに戻るとすでに充電は完了していた。時間は21時18分。あわよくば今日中に気仙沼まで到着したいと思っていたが、ちょっと厳しい展開だ。

<DATA>
前充電ポイントからの走行距離=114.3km
到着時走行可能距離=11km
充電後走行可能距離=138km(ecoモード)
充電時間=36分 ※食事時間含む

CHARGE_04:福島県福島市●福島日産自動車鎌田店(22:15)

日産や三菱のディーラーを中心に、日本国内の急速充電器設置台数は増えてきた。でも、24時間充電できるスポットとなると、まだまだぐっと数が少ない。須賀川から次の充電場所である福島日産の鎌田店までの距離はナビによると72km。余裕があるからエアコンをかけ、乗用車の流れに乗って走ってみる。

国道沿いで入りやすい

福島日産鎌田店に到着したのは22時を過ぎていた。ディーラーさんの看板照明などは消えていたけど、向かいのパチンコ店が営業していて急速充電器がある駐車場はかなり明るい。セルフで充電開始。すると、残業終わりで帰ろうとしていたらしいディーラーの工場長さんが「大丈夫ですか?」と話しかけてきてくださった。

聞くと、この店で24時間充電できるようになったのは今年の8月1日から、つまり「昨日から」とのことだった。日産本社から24時間充電を促進する依頼が各地のディーラーに出されていて、それに応える形で24時間対応にしたらしい。

充電設備設置の費用などはお店もち。それはいいとして、夜間の照明設備がないから向かいのパチンコ店が閉店すると駐車場が暗くなってしまうし、人が簡単に死ねる直流の高圧電気が流れる急速充電器をセルフで利用してもらうことはやや不安に感じているという話を聞いた。

また、夜間などの充電はセルフで無料。今はまだリーフを買ってくれたユーザーへのアフターサービス的に大目にみてる感じなんだろうけど、もっとEVが普及してくれば無料で充電OKというわけにもいかず、どうやって、いくらの料金を徴収するかという問題が大きくなるだろう。今、普及しつつある充電器に、たとえばクレジットカードを読み取って、使用した電力量に応じて課金できるシステムを追加するのは、そんなに難しいことではないのだろうか。さらに、売電に関する規制緩和が必要になるはずだ。EVの現状は、まだ特例として社会に許容されている珍しい乗り物に過ぎないのだ。

それにしても、もしも2日前にこの旅をしていたら、日産ディーラーの営業時間が終わる19時ごろ以降、福島から先へ走ることはできずに那須高原か福島市内の充電器近くで一泊するしかなかったということだ。取材前、別件でバタバタして充電場所の下調べなどはまったくせずにスタートしたことを、日産ディーラーのがんばりと1日違いの幸運に感謝しながら深く反省。EV旅にはプランニングが必要不可欠だってことを痛感した。

<DATA>
前充電ポイントからの走行距離=75.1km
到着時走行可能距離=27km
充電後走行可能距離=121km(ecoモード)
充電時間=22分

CHARGE05:日産プリンス宮城販売泉バイパス店(00:50)

真夜中のディーラーで充電中の図

福島市内の日産鎌田店を出発したのが22時49分。仙台までの距離は100km弱だ。高速道路だとやや遠回りになりそうだったのと、夜も深くなって空いてきたので、国道4号を走って仙台を目指すことにした。走行可能距離はそんなに心配ないだろうから、またエアコンはオンにして気楽に走る。

夜の国道をひた走りつつ仙台市周辺で24時間対応の充電器を探し、市街地を北に通り過ぎたあたりにある『日産プリンス宮城販売泉バイパス店』を目指すことにした。このあと、気仙沼まで行っても泊まる場所に困るだろうから、古川まで走ってビジネスホテルに泊まろうと思っていたのだが……。

泉バイパス店に着いたのは午前1時に近かった。ともあれ、まずは充電スタート。スマホで宿泊場所を探した結果、仙台駅前の露天風呂付きの大浴場があるビジネスホテルに泊まることにした。ホテルに予約の電話を入れて、念のためEV用の充電コンセントがあるかどうかを聞いてみる。200Vで寝ながら満充電できればありがたい。でも、「ない」とのことで、ここでちゃんと充電してから自分の肉体を充電することにした。

この店の急速充電器のそばには人感センサー付きのガーデンライトがあって、コネクターなどを操作する間、手元を照らしてくれるのがありがたかった。翌朝は古川まで40kmほど走って充電すればいいので、1時10分、充電率87%で充電を中止して仙台駅前に戻り、コインパーキングにクルマを停めてホテルにチェックイン。横浜を出発してから約470km、およそ12時間のEV旅1日目となったのだった。

<DATA>
前充電ポイントからの走行距離=114.2km
到着時走行可能距離=18km
充電後走行可能距離=110km
充電時間=38分

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