意義思案
日本EVクラブ代表
舘内端

電気自動車は、1充電の航続距離が短く使えないという意見があります。
一方、日常生活における自家用車の平均走行距離は20〜30キロメートルだから、電気自動車の航続距離は短くても困らないという意見もあります。いったい電気自動車の航続距離はどの程度が適切なのでしょう。

私たち日本EVクラブでは、電気自動車の適切な航続距離について論議するための情報のひとつとして、1回の充電で走れる最大の距離をご提案したいと思います。それが今回の「東京〜大阪途中無充電ミラEVの旅 そんなに走ってどうするの」です。

ベース車両は、ダイハツ工業株式会社の軽自動車のミラバンです。軽自動車という小さな車体であっても、東京〜大阪間560キロメートル走るための電池を収納することができました。また、電池のほとんどを床下に収納していますので、乗車スペースや荷物スペースが犠牲になっていません。航続距離が短いといわれる電気自動車ですが、小さなクルマでも東京から大阪まで途中で充電せずに走れるわけです。電気自動車は航続距離が短いというのは、誤解です。

でも、問題がないわけではありません。

内燃機関自動車であれば、補給した燃料は走行距離が伸びるにしたがって減ります。また燃料のエネルギー密度が高いためにそれほど重くありませんし、燃料タンクが大きくて困るほどではありません。航続距離が長いことは、さほどの犠牲を伴いません。しかし電気自動車の電池は、走っても体積が小さくなったり、重量が軽くなったりしません。なるべく少ない電池で走る方が省エネルギーで、コストも安くなります。たとえば私たちのミラEVの場合、日常で20〜30キロメートルの距離を走るとなると、およそ530〜540キロメートル走るための電池をそのまま載せて走ることになります。
大いなるムダです。


電気自動車は航続距離が短くて使えないから、もっと航続距離を長くしろというご意見は、場合によってはムダを強要してしまわないとも限りません。一方で、電気自動車で遠出をしたり、仕事で長い距離を走りたいユーザーもいるでしょう。

いったい電気自動車の航続距離はどの程度が適切なのでしょうか。
私たちのミラEVによる旅を材料に、活発な議論が起こることを期待します。
「そんなに走ってどうするの」という反語的タイトルには、そんな気持が込められています。


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