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北山崎レストハウスでの、出会い。

久慈から宮古までは、幹線の国道45号で約93km。小國さんおすすめの北山崎に立ち寄るルートで検索すると、どうやら100kmちょっとの距離になる。

北海道で110km走ったし、「まあ、大丈夫だろう」と突き進む。

駐車場にEVスーパーセブンを停めて、展望台へ。少し霞みがちではあったが、晴天に恵まれて絶景を堪能できた。

駐車場に戻る途中、『北山崎レストハウス』に立ち寄って「たのはたソフトクリーム」でひと休み。ソフトクリームには、おやつ昆布のひときれを活用した「こんぶスプーン」が添えられていた。売店のおかあさんに聞くと、こんぶスプーンは「専務(=社長の息子さん)のアイデア」ということだ。

なるほどねえ、と話が弾み、旅のことを説明していると。

「ここにも電気自動車を充電するところがあるわよ」と。

え?

おかあさんが「たしかこのあたり」というところを探してみると、EV用の200Vコンセントが設置されていて、傍らには日産リーフが停まっていた。

「ちょっと社長を呼んでくるわね」とおかあさん。

と、いうわけで、リーフオーナーであり、北山崎レストハウスの社長、熊谷正利さんと出会うことができた。

熊谷さんがリーフを買ったのは今年の3月。「久慈市から毎日50kmほどを通勤していると、ガソリン代がもったいなくてね」というのが購入理由。往復100kmの通勤もリーフの航続距離なら問題ない。レストハウスに設置したコンセントさえ、「あまり使わずに済んでいる」らしい。

乗り心地や使い勝手には大満足。熊谷さんがリーフに乗っているのを見た社長仲間が「オレも買う」とリーフを買った、なんていうエピソードも。

ただ。

久慈から宮古まで90kmも急速充電器空白地帯があるように、三陸一帯で急速充電器はあまり普及していない。

「たとえば、まだ久慈から150km近く離れた盛岡に行こうとすると使いにくい」ので、そういうときはエンジン車を使う、という話には、自治体などがリードして、都市をつなぐルート上には計画的に急速充電スポットを配置することの大切さを改めて感じた。

で。

せっかくだからリーフとEVスーパーセブンを並べて写真を撮らせてもらおうとしていたら、オレンジ色のジャンパーを着た「専務」が登場。

このオレンジ色のジャンパーは、地元のNPO法人「体験村・たのはたネットワーク」が実施している「大津波語り部&ガイド」のユニフォーム。実は、北山崎レストハウスに隣接したビジターセンターで「語り部」のことを知り、どこかで会えないかなと思案していた。

うれしい奇遇。

もちろん、一緒に記念撮影させていただいた。

東日本大震災が起きた時、「専務」の熊谷章範さんは、地元の高校生たちをつれて、リアス式海岸の遊歩道や洞窟の清掃作業をやっていたという。洞窟から浜に出たところで地震が発生。断崖が崩れてきた。携帯電話も無線も通じなくて情報がなかったが、とっさの判断で高校生たちは歩いて崖の上に避難させた。章範さんらの大人数人は、歩いて30分ほどのところに停めてあったクルマに戻り高台を目指すことにしたのだが、展望台のあたりまで避難した数分後に、通ってきた道が津波に洗われてしまったという。

まさに、間一髪。

本業は、こんぶスプーンのアイデアを出したようにレストハウスの専務として活躍し、このあたりの風物詩でもある「さっぱ船」の漁師でもある章範さん。大震災と津波の記憶をできるだけ多くの人に伝えられるよう、語り部の活動にも取り組んでいるということだ。

なんというか。

人生は偶然の積み重ね、と感じる出会いだった。

ちなみに。

さっぱ船というのは昆布漁などをするための、棹で操る小型の船。波に煽られて笹の葉のように揺れるのが「さっぱ」の由来ということだ。

これもまた、人生のありさまを象徴している。

まったく、旅って人生だ。


2 Responses to “北山崎レストハウスでの、出会い。”

  1. Akinori Kumagai

    昨日は偶然お会いできEV車による旅の話も聞けて良かったです。私も10年以上前にガソリン車で日本一周したことがありますが、いつか私も今回の充電ルートを参考にしながらEV車でチャレンジしてみたいと思います。ぜひ、日本一周急速充電の旅頑張って下さい!応援しています!

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    • yorimoto

      たとえば、リーフでの日本一周は、きっとガソリン車とは違う思い出を刻んでくれることと思います。応援いただけてうれしいです。ありがとうございます!

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