フカダさん
小倉を目指す途上、舘内さんから電話が入る。いろいろと相談し、結局、パーツの用意や作業場所を考えると、救援隊が小倉に向かうのは現実的ではない。とにかく8日に予定されている鳥取でのイベントに間に合うように走り、京都の協力会社に集結して対応しよう、ということになった。
そうと決まれば、おそるおそる航続距離がぎりぎりの小倉まで走りきる必要はない。九州自動車道を八幡で下りて、近くの日産ディーラーに飛び込んだ。
【福岡日産自動車 八幡インター店】
前充電地点からの走行距離:57km 旅の総走行距離:6177.4km
と。
1台のリーフが充電中。
本来は、今日のうちに山口県の萩まで走るつもりだった。
すでに時刻は午後5時を過ぎている。八幡から萩まで、急速充電器をつないで予定している日本海沿岸のルートを走っておよそ150km程度。少しでも早く充電して、少しでも萩の近くまで走りたいとは思うのだが。
ドライバーさんはクルマを離れていなかったので、急速充電器の液晶をのぞくと充電率はまだ6割程度。20分以上の残り時間が表示されていた。
今日は結局、お昼もまともに食べていない。
慎輔さんは後部座席の荷物の山から、愛知県でお土産にいただいたかえるまんじゅうを発見。ショームール脇のベンチでぱくついている。
焦っても仕方ない。天命に従うのみ、と覚悟を決めた。
が。
隣接するコンビニにでも行っていたのか、ほどなくして戻っていらしたドライバーさん。
「おや、日本一周してるEVですね」と驚嘆の声をあげると「どうぞ、早く充電して進んでください」と、自らの充電を切り上げて、充電器を譲ってくださった。
ありがたく充電開始。
リーフオーナーさんは素早くその場から立ち去っていかれたので「フカダ」さんというお名前を伺うだけしかできなかった。
フカダさん、ありがとうございました!
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