函館の、リッキー。
八雲から、海沿いの風景がうるわしい道をひた走って函館へ。
【函館中央三菱自動車販売 函館中央店】
前地点からの距離:68.3km 旅の総走行距離:1316.5km
八雲での充電は約30分。電池残量は11%から85%に回復した。函館に向けてしばし海沿いの大沼国道を快適にドライブ、だ。
函館中央三菱自動車販売 函館中央店に到着。広い道から駐車場に入ろうと横切る歩道の安全確認をしていると、店内からピンク色のシャツを着た男性が駆けだしてきてくれた。
力石嘉孝さん。函館中央三菱自動車販売の、なんと「MiEV販売推進室長」だ。
おお。そんな部署があるのか、とまずは驚嘆。
さらに驚いたのは、力石さんは電気自動車への理解を広げるために、地元函館の「FMいるか」で金曜日13時45分ごろからのコーナーをもち、「リッキー」というニックネームでパーソナリティを務めているという。
うほほ。
きっと、「MiEV販売推進室」とか「リーフ販売推進室」なんて部署がある販社は、日本中探してもそんなにないのではないだろうか。
部署ができたいきさつを伺うと。
i-MiEVが発売された当初、普通に売ってもなかなか成功しづらいだろうと考えた力石さんが、会議で「EVの必要性を理解してもらうための訴求活動が必要でしょう」と発言。社長をはじめその意見に賛成して採用されて、言い出しっぺとして、その責任者に任命された、ということらしい。
まさに。
日本EVクラブの掟である「隗よりはじめよ」の精神だ。
力石さんはラジオでの活動のほか、地元のさまざまなイベントに「MiEV」とともに駆けつけて、音響用の電源を供給したり、バーベキューを催したり。4年間にわたり、EVの啓蒙活動に取り組んできたという。協力したり参加したイベントのチラシなどが綴じられたファイルは、20センチ近い厚さになっていた。
われわれは、夕方のフェリーで大間に渡ることにしていたから「そんなに時間がなくて申し訳ないですが」と言いつつお話しを伺った。
これまた、本州最北端の民宿の一室で、座布団を折り重ねて座ってもしびれる足をもてあましながら、こんな時間(今、午前2時半。。。)にまとめるのは無茶だから、取材メモ的に箇条書きにしておきたい。
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力石さんが地元のイベントなどに積極的に参加するのは、EVの実用性や走りの良さといった魅力を、具体的なクルマを使って感じてもらうため。
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イベントで子どもたちに向かって「君たちの時代のクルマなんだよ」とEVの話をすると、目を輝かせて聞いてくれる。
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北海道の人は、冬、家の中ではがんがんストーブ炊いて、半袖Tシャツでアイスクリームを食べる生活が染みついている。電気自動車を普及させるためにはやはり急速充電器網の整備が不可欠で、できれば、30kmごとに設置されている安心感があるといい。
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とはいえ、自治体のビジョンで設置する目標数を示しても、実際に設置すると手を上げる民間の事業者の数は少ない。
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コンビニチェーンと協力できるとすばらしいのだが、まだEVが普及しているとは言いがたい現状では、それもなかなか難しい。
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国の施策を示す人たちにも、もっと北海道の実情を見に来て欲しい。現場で関わっている人たちは、とまどっている。
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最後に、4年間にわたりEVを売り続けてきた、売ろうとし続けてきた力石さんの視点から「こんな市販EVがあれば売りやすい」というイメージを挙げてもらった。
まずは。
北海道ではやはり4輪駆動が必須。4駆ではないハイブリッド車の売れ行きには、北海道ではすでに陰りが出始めている。実はi-MiEVは後輪車軸上にモーターがあって雪道に強いのだが、それもあまり知られていない。
さらに。
i-MiEVで世界の先駆けとして市販EVをリリースしたMMCだからこそ、近未来のクルマとしての姿を提言するようなデザインのEVを生み出してほしい。既存のエンジン車のイメージからそろそろ脱皮して、ガンダムチックな進化を遂げたEVが作れないものか。ということだった。
実は、函館中央店には函館新聞社の千葉卓陽(たくお)報道部副部長が、自ら取材に訪れてくださっていた。
きっと、力石さんパワーで、取材するようアピールしてくださったのだろう。
能代の時のような、逆取材写真撮影するのを忘れたのがちょっと残念。
千葉さん、ありがとうございました。
それにしても、力石さんのエネルギーには圧倒された。
力石さんのような方こそが、EV時代の礎を積み重ねていくべきだ、と思う。
個人的には、急速充電器を「30kmおきにくまなく」というのは、ちょっと時期尚早というか、オーバースペックに過ぎるのでは、という気がするが。それもまた、たっぷり時間があるときに力石さんと論じ合ってみたいと思っている。
力石さん、そして函館中央三菱のみなさん。ありがとうございました!
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