星野富弘さんの、引力
前日、舘内さんと約束した時間から1時間ほど遅れて、桐生市内にある星野富弘さんのご自宅に到着した。
富弘美術館に立ち寄ることは、出発前の旅計画にも盛り込んでいたが、ご自宅にまでお邪魔するのは予想外のこと。EVスーパーセブンで三陸を走っている途中、舘内さんがなにやら電話してスケジュールを調整。急遽、お邪魔することになったのだった。
星野さんと舘内さんは高校時代の同窓生だ。JAF MATE誌では、星野さんの詩画に舘内さんがエッセーで答える連載企画が続いている。今日は、JAF MATE誌編集長の鳥塚さんも、舘内さんと一緒にここへ来ているはずだ。
携帯電話で舘内さんにご自宅前(と思われる場所)に到着したことを連絡すると、思っていたよりも大勢の方がぞろぞろと玄関前に出てきてくださった。
92歳になるという星野さんのお母さん、そして奥さまなど。さらに、富弘美術館館長の聖生さんと星野さんは小学校からの同級生、つまり、舘内さんとも高校時代の同級生で。
写真に写る人をいろいろと差し替えながら、記念写真をいっぱい撮影した。
草木でいっぱいの庭の一画にあるガレージ前に入れていたEVスーパーセブンを通りに出して。プチ試乗会を楽しんでいただいた。
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星野さんの「まずはお茶でも」という言葉で、家の中に招き入れていただいて、みなさんで談笑していると。
ダイニングのテーブルには夕食の準備が整っていく。
舘内さんとは「15時に」と約束していただけ(到着は16時になってしまったが)で、ご自宅で何が起こるのか、まったく打ち合わせもしていなかったから、予想外の展開だ。
大きなダイニングテーブルをみんなで囲んで、用意していただいた「ちらし寿司」や押し寿司などをいただいた。
92歳のおかあさん。皿に盛られたちらし寿司と押し寿司の量に、食べきれるのかなと少し心配していたのだが。自分の皿の分をいただいてふと見ると、すでにぺろりと平らげていらしたのには驚いた。
ほんとに、お元気そうで何よりです。
デザートのリンゴとナシをいただきながら、星野さんを中心とする3人の同級生たちの話に花が咲いた。
どうやら、当時の桐生高校でも札付きの悪ガキたちだったらしい。
それぞれにすばらしい仕事を重ねて還暦を超え。
でも、あのときは「こうだったよな」「いやいや。こうだったんだよ」などと語り合う3人の目が、失礼ながら、まるで高校時代に戻ったように輝いているのが印象的だった。
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小学校以来の同級生である聖生さんは今、富弘美術館の館長だ。
「富弘」という個人名を冠した美術館だから、星野さんが個人経営する美術館と誤解されることもあるそうだが、さにあらず。富弘美術館はみどり市立の公的な施設で、展示されている作品は星野さんが市に無償で提供したものだ。
最近は、各地の「文学館」などから星野さんへのオファーも多いらしい。
文学館として人を呼べるコンテンツが少なくて、詩が添えられた絵が作風の星野さんに、人を呼べる作家としてのお呼びがかかる、ということだ。
そんな話を聞きながら。
作品はもちろんすばらしい。でも、こうして星野さんの作品が多くの人に愛されて、人を呼べるコンテンツになっているのは、星野さんご自身の、人間的な引力なのだと感じた。
星野さん、そしてご家族のみなさん。
ちらし寿司に入っていた、黒い珍しいキノコ。。うーん、名前を忘れてしまったけど、おいしかったです。
ありがとうございました!
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と。
ここで、仙台で合流いただいた桂さんとはお別れ。
お疲れ様でした。
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