【舘内レポート】3×5=15=無尽蔵
今日は10月7日。たぶん月曜日。朝から雨。昼頃に止むはずだったのに、本格的に降り出した。朝の殺気立った気仙沼漁港にEVセブンで乗り付ける。のけ者にされながら、かもめとセブンを必死にカメラに収めたのは寄本さん。前も後ろも、右も左も、窓という窓はしずくでびっしょりのセブンを運転したのは私。
夕方になるとようやく雨は止み、夕暮れ。その中を45号線を北上川沿いに気持ち良さそうに走ったのは、港で罵声を浴びながら撮影した寄本さん。ご褒美だ。ああ、私が乗りたかった。
快適かつ楽しいアウトランダーPHEVでセブンを追いかける。雨の中をよく走っている。水たまりの水を跳ね上げながら懸命に走るセブンを見ると、ありがたくて涙が出る。自動車の後姿に涙したのは、初めての経験だ。
EVスーパーセブンは速い。交差点からのスタートで完全に置いていかれる。寄本さんに聞くと、普通にアクセルを踏んでいるだけだという。こんなとき、流れる電気は電圧が115ボルトほどで、電流は100アンペア。掛け算すると出力が求められる。11.5キロワッット。効率を80%とすると、出力はおよそ21馬力だ。
それでもアウトランダーPHEVに限らず、ほとんどの乗用車を置いていけるのは、EVスーパーセブンのトルクの強さと、なんといってもたった730kgしかない軽さだ。こんな軽い自動車は、軽自動車にもない。
昨今のスーパースポーツカーはパワー競争に陥り、エンジンの排気量を6リッター近くまで拡大し、その結果、車重が2トン近くになるものもある。で、気持ち良いかというと、気持ち良い。
そうした恐竜化した気持ち良さもあれば、EVスーパーセブンのような軽量、コンパクトな車体にして、小さなモーターで気持ち良いスポーツカーもある。
自動車の楽しさの追求という欲望は、おそらく自動車が存在する限り続くだろう。そのとき、恐竜化させて楽しさを得るか、なるべく環境・資源・エネルギーに負荷をかけずに楽しさを得るか。EVスーパーセブンの登場によって、私たちは2つの選択肢をもったことになる。選択肢は多いほうが安全である。
ちなみにEVスーパーセブンの電費は、1km走って94.85ワットアワーの電気を使ったので、94.85Wh/kmである。これは量産EVで世界最高を誇るVWのe-UPよりも、メーカー製ではあるがまだ市販されていないEVの中で世界最高を誇るフィットEVよりも、私が東京〜大阪555.7kmを途中無充電で走ったEVミラよりも、良い。しかも、実際の道路を走っての結果だからなおさらだ。
EVスーパーセブンは、モーターを現在のAC誘導モーターから、量産EVに使われるブラシレスDCモーターに換装したり、軽量化したり、空気抵抗を減らしたりすれば、まだまだ電費は良くなる。
とても近い将来に、いや現在でも、EVスーパーセブンを自宅のソーラーパネルで発電した電気で充電できる。楽観的な数値として、屋根に装着したソーラーパネルの出力を3キロワットとして、これに5時間、太陽から光を頂くと、15キロワットアワーの電力量となる。EVスーパーセブンの電池容量は13.2キロワットアワーだから、満充電できることになる。
さて、この電力量=エネルギーは、ソーラーパネルの設置費用があるのでタダではないが、そしてソーラーパネルの製造に消費したエネルギーもゼロではないが、とりあえず太陽の光は(人間的尺度であれば)無尽蔵である。この無尽蔵のエネルギーで充電したとしても、省エネ運転は必要だろうか。
資源は無限ではない。たとえ木材であっても、ちゃんと植林をして伐採しないと、そうして幾多の古代都市が滅びたように、日本も、世界も滅びてしまう。しかし、太陽光、風力、地熱は、無尽蔵な(に近い)エネルギーである。それで再生可能エネルギーと呼ばれている。
無尽蔵なら好きなだけ使ってもいいのではと、ふと思うのだが……。
どうだろう。
今日は哀しい場所をたくさん走ったので、物理のお勉強にしてみた。
(舘内 端)
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